中村靖彦の今日思うこと

思いつくままの日記

農業問題の情報が減りました。

新聞やテレビで農業問題についての情報が激減しました。業界紙ではなく一般紙のことです。以前このブログでも書いた、種子法の廃止とか新しいパン用の国産小麦が開発されたなどのニュースも一般紙では見ることが出来ません。メディアは自民の反応を大事にします。つまりニュースとして取り上げない、ということは、普通の市民の関心が薄いということを、そのメディアが判断しているということなのでしょう。しかしこうなると、市民と農業の距離がどんどん離れていってしまう。毎日食べているのに農産物のことを何も知らずにいるなんてことが起こり得るのです。私はそのことがとても心配です。けれどもまたこうも考えます。一般の市民は草の根で、農や食への関心を深めている、それを一般のメディアが捉えていないだけではないか。新聞やテレビの若い記者たちは最近の農業問題についての関心とか知識がまるでありませんからね。身の回りに食べ物がいくらでもある時代てすからね。

空白を取り戻すのに何年かかる?

6月14日付けの「日本農業新聞」にこんな記事が載っていました。f:id:terakoya05:20170614105606j:image新しいパン用の小麦が開発されたという記事です。東北と北陸向けで、現在寒い地域で多く栽培されている「ゆきちから」という品種に負けない「夏黄金」という品種だそうです。いま日本の小麦の自給率は10%程度でとても低い上に、美味しいパンを作るのに適した品種は少ないのが実情です。「夏黄金」は、育種でこの点を改良して、角型食パンを作るのに適した品種に育てたということです。このような研究成果は貴重です。ただ長いこと農業政策を見てきた私としては、つい少し以前を振り返りたくなってしまいます。日本は第二次大戦前までは小麦の生産が盛んでした。量だけでなく、質の上でも優れた小麦を生産していました。終戦となった直後、アメリカの農務官が日本にやつてきて、日本の小麦の品種「農林10号」を母国に持ち帰りました。倒れにくく収穫量も安定していたこの品種は、交配されて当時のアメリカの小麦を変えたと言われています。さらにこの品種は、後にノーベル賞を受けたボーローグ博士の目に留まり、インド、パキスタン緑の革命をもたらす小麦となるのです。しかし戦後、日本の農政はコメ中心となりました。主食のコメが不足していた状況ではやむを得ない選択だったかもしれませんけれどもこのような環境の中で、日本の小麦生産は衰退の一途を辿っていきました。そしていま、にほんの食生活が変わっていく中で、小麦への関心もまた高まっています。けれども一度衰えた技術を立て直すのは容易なことではありません。地味なようでも、基礎的な技術を維持していくことがどんなに大切か、私は折りにふれて思い起こしています。

メダカがやって来ました。

私が入居している老人ホームにメダカがやって来ました 。中庭に置かれた五つの水槽の中で、小さなメダカが泳いでいます。小さくてもそれぞれ種類が違います。f:id:terakoya05:20170609102808j:imageこの写真ではよく分かりませんね。表示を読んでみます。幹之メダカ、この種類はうろこが光っています。白メダカ、全体が白く黄色とか黒の色素が抜け落ちています。パンダメダカ、目玉が黒く白目の部分がありません。楊貴妃メダカ、何と高貴な名前が付けられたメダカです。そしてヒメダカは、江戸時代から庶民に飼育されていたという種類だとのことです。私が子どもの頃は、田んぼに水が入ってコメ作りが始まる頃にメダカも泳ぎ始めたような気がします。その後農薬が広く田んぼに撒かれるようになって、小さな生物は姿を消しました。ところがいま、野菜や果物などが次々に小型化して行く中で、ごく小さな魚であるメダカが注目されているのでしようか。

コメコンテストが始まりました。

コメ日本一コンテストイン静岡の実行委員会に行って来ました。今年で14回を迎えるこのコンテストですが、私はこの10年ほど実行委員長をつとめています。コメの消費県である静岡県で、日本一を決めるのは変だという声もあったのですが、味を評価するのは消費者だからちっともおかしくない、と私は考えています。コンテストが知られて来るにつれて、全国から応募数が増えて、去年は審査の限界とする500件になりました。これをまず機器を使って味を測定し、最終審査に残った30を、専門家が実際に食べてみる官能試験で判定するのです。以前は、コシヒカリでの応募が圧倒的に多かったのですが、最近の特徴は品種の多様化です。去年、日本一の栄冠に輝いたのは、高知県のある生産者が育てた「にこまる」という品種でした。日本を見渡すと、各県の研究者や生産者がいろいろな品種の開発を競っているのが現状です。来年の産出米から長年続いたコメの生産調整が廃止されます。少し遅すぎたきらいはありますが、産地の知恵と工夫が問われる時代になります。コンテストで最後に残った品種のいくつかを私も毎年頂いていますが、本当に美味しいです。条件を統一して炊飯するので違いは品種だけ、これが甲乙つけがたいということは、水準が上がっているということです。美味しいご飯を食べるのは楽しみですね。

豆腐マイスターを知りました。

知ったのはNPO法人「良い食材を伝える会」の総会の後の懇親会の席です。この懇親会は、以前から人気があつて喜ぶ会員が多かったのですが、今回は豆腐が取り上げられました。f:id:terakoya05:20170603132939j:imageいくつかのメニューが並んだのですが、各テーブルの間をまわつて質問に答えたりしている豆腐マイスターの姿に、私は関心を持ちました。どんな仕事をしているのか聞いてみました。聞けば日頃から豆腐の種類や歴史、食べ方などについて勉強していて、イベントなどがあると出掛けて行って説明役を務めて、啓発活動をしているのだそうです。いまや豆腐は、アメリカなどの海外でも、食材として評価されるようになつていて、講習会の需要も結構あるのだそうです。これはこれで私には面白かったのですが「良い食材を伝える会」の懇親会も次第に参加者が少なくなつているのです。理由の最たるものは会員の高齢化ですね。懇親会はこれまで夜に行なわれていたので、やはり夜の外出はもうしんどいと言う人が増えてきたのですね。私が参加している他の会でも同じ傾向が見られます。ボランティアの会も見直しが迫られているのでしようね。

テロを防ぐのは無理でしよう。

犯罪を計画段階から処罰する「共謀罪」の趣旨を含む組織的犯罪処罰法の改正案が衆議院を通過しました。折しもイギリス、マンチェスター自爆テロが発生しました。共謀罪を推進する立場の人たちは、f:id:terakoya05:20170524103837j:imageこのようなテロを未然に防ぐためにもこの法律は必要だと主張しています。そして一般人は捜査の対象にならない、とテロ対策が目的であることを強調しています。てもね、私のような法律の素人が考えても、テロを企てる人は一般市民の間に混じって目立たないようにして生活をする場合が普通なのではないでしようか。この企てを未然に防ぐには個人の暮らしの相互監視しか手はないように思うのです。しかし政府は、今度の法律の審議の中で、そんな個人の内心に立ち入るような行動はしない、と言っています。でもそれではテロを企てる人間はみつからないでしよう。とすると、この法律の狙いは何なのか。

今回はいつもの食を巡る話題を離れて、私にもよく分からないテーマを考えてみました。